2011年震災の時の観劇関係の記録。
被災された皆様にお見舞い申し上げます。少しでも早く、普通の生活が戻りますように。
大きな災害が起きた時、毎回持ちあがるのが「こんな時に舞台をやって良いのか」という話。非常時におけるエンターテイメントの意義とは・・・なんて大層なタイトルを最初は考えたのですが、どうにもまとまらなくて断念。
ということでシンプルに。東日本大震災の時の宝塚がどうだったか、その時に自分がどう感じたかの記録。
※暗いです。ご注意を。
2011年3月11日(金)。私は大阪梅田のシアター・ドラマシティで宝塚宙組『ヴァレンチノ』14時公演を観劇していました。一幕の後半でゆらゆらと揺れ始めて。最初は寝不足で眩暈でも起こしているのかと思ったんだけど、途中で数日前に東京で体感した揺れと一緒だと気付き。だとしたら・・・東北!!!
震度は1か2だけど、横揺れがずっと続いていたので照明がぶつかり合ってガチャガチャ音を立てていて・・・。キリの良い所で幕が降り、10分ほど中断。幕間に情報を得ようとするも、ドラマシティのロビーはもともと電波が悪い上、繋がりにくくなっていたようで何もわからず。その日の舞台のことはほとんど覚えていません。
大阪での公演は3月20日に終わり。東京公演3月26日~4月2日は会場となる日本青年館が震災で破損したため中止に。*1
東京はまだ余震が多かったし劇場も古かったので、この時は中止になってホッとしました。大阪では毎公演、主演の大空祐飛さんがカーテンコールで沈痛な面持ちで挨拶をされていて。その祐飛さんを見るのがツラくて・・・あの表情をまた東京で見たくはなかった。
東京宝塚劇場では雪組『ロミオとジュリエット』の休憩中に震災が起きたそう。高いセットなどもあったので、上演中でなくて良かった。当日は関東の交通機関がストップしてしまったので、劇場に泊まることができたとか。翌日は中止だったかな?(あやふや)。3月20日千秋楽。
そして次は花組『愛のプレリュード/Le Paradis!!』3月25日~4月24日。チケットを取っていたので何回か観に行きました。でも正直ツラかったな。ロビーは節電で暗いし、公演中も余震があって落ち着かないし。それに、贔屓の公演は中止になったのに・・・という気持ちもなくはなかった。
なにより終演後の募金が、私はツラかった・・・。主演の真飛聖さん*2はじめ花組生が募金箱を持って立っていて。安全の為に入り出待ちが中止されていたし、退団する生徒さんもたくさんいたし。頑張っている生徒さんに直接想いを伝えられることは良かったと思います。ただ募金箱が置かれているだけより確実に金額も集まるし。でもロビーに沈痛な面持ちで立たれている生徒さんを見るのがツラくて。
募金は花組の生徒さんたちが、何か自分たちに出来ることはないかと話し合って決められたと聞きました。
エンターテイメントを提供する側にとって「非常時に公演をしていて良いのか」という葛藤は絶対にあるものだと思います。観る側は後ろめたい気持ちがあったとしても「公演があるなら、チケットを無駄にしない為に観に行く」という大義名分があるけれど。
でも公演をするのは彼女たちの仕事であり、やれる環境にあって、やると決まったなら、精一杯やるしかないわけで。何も恥じたり後ろめたくなる必要はないのに・・・。それで元気をもらえる人たちがいるんだから。むしろ胸を張って良いことなのに。
そんなこんなでモヤモヤが溜まっていた時、TVでミッキーたちが歌い踊っているのを見たら、いつの間にか号泣していました。ミッキーと仲間たちは、いつだって口角が上がっていて笑顔なんだなぁ~って。
笑顔じゃない彼女たちを見るのがツラかった。
彼女たちに、「元気をもらったよ」と笑顔を見せなきゃと思うことがツラかった。
贔屓の東京公演は中止になってしまったのに、
贔屓は大阪でチャリティーのために街頭で歌ったりしていて。
それは彼女たちがその時に出来ることを考えて実行したことであり、とても良いことであるはずなのに。
なんで大阪でやるの?(本拠地だからだよ)(そんなのわかってるよ)(苦笑)
東京での公演がなくなったんだから、むしろ東京でやってほしかった。
でも決して安全ではない東京に来てほしくもなかった。
頭で納得できても、心で納得できないことがたくさんあって。
負の感情を持ってしまう自分を責める気持ちが生まれ。
本当に大変だった被災地に比べれば全然大したことはないけれども。
仕事は大混乱で毎日ぐったり、物資もないという程ではないけれど揃わないものもあり。
ただでさえ疲れているところに、いわゆる娯楽で心を疲れさせている自分ってなんなんだろう?
・・・エンターテイメントって、楽しむためにあるんじゃなかったのかな?
これはあくまで、その時の私の特殊な状況でのキモチ。
いわゆるエンターテイメントに救われた人は、きっととても多かったと思う。
だから、やれる環境が整っているならやればいいんです。「こんな時に不謹慎だ」と言う人がいたとしても、舞台を観て元気になれる人がいるんだから。やってもやらなくても、いちゃもん付けたい人は付けるし(苦笑)。
あと、人前に立つ仕事をしている人には、そういう時こそ笑顔を見せてほしいなと思いました。こういう時に笑顔を見せるのはどうなんだろう?と思う気持ちはわかります。でも暗い表情を見せられたら、ファンは余計に暗くなる。
そういうのって連鎖しちゃうから。だったら、笑顔を連鎖させたいよね。
・・・と、ここで終わるつもりだったのですが、最後に連鎖に関連?した話。
大阪で前方通路側席で観ていた時、色々気掛かりで全然舞台に集中できなくて。舞台から視線が外れていたのかもしれない。ふと顔を上げたら、悲しげなルディ(役)ではなく、祐飛さんと目が合った(気がした)の。
実際に合っていたかはわからないし、仮に合っていたとしても、その時に祐飛さんがどう感じたかはわからない。でも、そういう表情を自分がさせてしまった(かもしれない)ことをすごく反省しました。役者さんが舞台上で役を演じている以上、観客は客席で観客を演じなければならない、と思っているので←このことについては機会があれば後日まとめたい。
でも当時は、日常を忘れて舞台の世界に入り込むなんてこと、やっぱり出来なかったな。
こんな気持ちをまた味わう日が二度と来ないことを願います。